はてなダイアラージャンプ漫画百選 木多康昭「幕張」

  • 『幕張』木多康昭 / 1996年11号〜1997年49号(全82話) / 単行本 全9巻

    幕張 1 (1)ジャンプコミックス 幕張―千葉 (2)    ジャンプ・コミックス 幕張―千葉 (3)    ジャンプ・コミックス 幕張―千葉 (4)    ジャンプ・コミックス 幕張―千葉 (5)    ジャンプ・コミックス 幕張―千葉 (6)    ジャンプ・コミックス 幕張―千葉 (7)    ジャンプ・コミックス 幕張―千葉 (8)    ジャンプ・コミックス 幕張―千葉 (9)    ジャンプ・コミックス


 id:hurricanemixerさん*1からバトンが回ってきました、はてなダイアラージャンプ漫画百選の2回目です。キーワードの作成を急かしたくせに、めちゃくちゃ遅れてしまってすいません! いやもう、めちゃくちゃなんてもんじゃぁないですよ。お誘いをもらって、是非書きたいと返事をしたのが6月3日で、今日はもう何日だよ。こんなに遅くなるなら、辞退すればよかったのにねぇって思われてるだろうね。ご迷惑おかけいたしました。
 もうね、id:hurricanemixerさんとid:screammachineさんとid:honさんと私が次に回す人と、その他ジャンプ100選を楽しみにしていた人たちには頭が上がりません。済まない気持ちでいっぱいです。
週刊少年ジャンプ 1996年11号



さてこれだけ時間をかけたくせに、私が選んだジャンプ漫画は、大方の予想がつく「幕張」です。


 このシェルターというサイトは、「木多康昭作品考察」という木多康昭のファンサイトをメインコンテンツとして始めました。そのことからもわかるように、私の一番好きなジャンプ漫画は「幕張」です。ジャンプに限らず、一番好きな漫画です。
 子供の頃からジャンプ漫画は大好きで、初めてお小遣いで買ったジャンプコミックスは「ハイスクール!奇面組」で、88年末か89年初頭からジャンプの定期購読を初め*2、現在までジャンプは大好きですが、「幕張」を好きにならなかったら、ジャンプオタクや新人漫画家ヲタにもならなかっただろうし、現在サイトを作っていなかっただろうと思います。(「幕張」ファンになる前からパイレーツと城麻美は好きだったので、アイドル関連の日記は書いていたかもしれないけれど)


 ファンサイトの方でも以前に何度か、「幕張」との出会いや私がどんなに「幕張」を愛しているかを書こうとしましたが、書いていてグダグダになってしまって途中で止めてしまうことばかりで、アップすることはなかったんです。今回、はてなダイアラージャンプ漫画百選が回ってきて、これはちょうどいい機会だと思い、「幕張」について書くことにしました。出会いとか愛とかをダラダラと書くよ。id:hurricanemixer:20040531#1085948962さんみたいな面白い文章は書けないよ。自分語りになるよ。*3
週刊少年ジャンプ 1996年31号



「幕張」は木多康昭の初連載作で、1996年11号から始まりました(全82話)。その前年の95年に、ジャンプの月例新人漫画賞であるホップ☆ステップ賞*4(第121回・95年3月期)の佳作を受賞し、その受賞作「仮面の告白」が増刊号(『Summer Special』)に掲載されてデビュー。その4ヶ月後に「海に生くる人々」が第43回赤塚賞佳作を受賞し、増刊『Winter Special』に掲載。その2ヵ月後に、読切(受賞作)2作の連載版である「幕張」が始まりました*5赤塚賞受賞から2ヵ月後、デビューから半年後の連載で、(昔のことは知らないけれど)ここ20年ぐらいでは最速ではないでしょうか*6。(→木多康昭先生プロフィール
 「幕張」1話目の話は赤塚賞応募用に描いたものだということが、コミックス5巻の袖に書かれており、そこからも、連載が急だったことがうかがえますね。


 「幕張」は、県立幕張南高校一年の野球部員、鉄人・塩田鉄人と、ロリータとホモの混血・奈良重雄の二人を中心としたギャグ漫画です。85cmEカップのバストを持つ巨乳パイパンの野球部マネージャー桜井美保*7や、先っぽが炭化したチンポを持つ元剣道部員・叶親浩司、赤木キャプテンの顔をしつつも自身を広末涼子と思い込むゴリ・鈴木智恵子、「マーダーライセンス牙」の板垣総理とソックリな17才・板垣平松など、多彩なキャラクターが登場し、思春期のリビドーそのままな下ネタや、時に悪意にも思える他連載漫画などのパロディー、芸能ネタ、ジャンプ編集部員をモデルとしたキャラクターが多数登場するという内輪ネタ等々を交え、行き当たりバッタリのように見える展開で進んでいきます。 
週刊少年ジャンプ 1996年48号



私と「幕張」との出会いは、普通にジャンプでの連載の第1回目でした。第一印象は悪く、「何か稲中っぽい」と思いました、今思うとどこが?!って感じですが。(ファンになった後にネットで「稲中っぽい」という書き込みを見て、「はぁ?! 全然似てないじゃん」と憤ったのですが、私だって連載当初はそう思ったのにね) ギャグやノリが寒いな〜と思って、ファミレスのトイレで男子高生が男相手に売春ってのには生々しくて嫌悪感を抱き、「うわ〜、気持ち悪い連載が始まっちゃったよ」なんて思ってたし。(でもその翌週からもっと気持ち悪い連載*8が始まったので、「幕張」の気持ち悪さなんてどうでもよくなっちゃったんですけどね)
 気持ち悪いと思わなくなった後も、別に心惹かれることもなく、「暇つぶしに読む連載漫画の一つ」であり、好きでも嫌いでもなく「どうでもいい」って感じでただ何となく読んでいました。今はジャンプ買っても全部は読んでいませんが、当時は全部読んでいたから。


 ある時、クラスメートの女子*9の机の上に「幕張」の単行本1・2・3巻が置かれてるのを見て、「何『幕張』なんて読んでるの? それ面白い? ××ちゃん、ジャンプ読んでないじゃん。意味わかんなくない?」と聞いたら、「面白いよー。Qも読むー?」と返ってきて、「えー、私はいいやー」と答えつつ、ジャンプネタばかりの漫画をジャンプ読んでない子が楽しんでるということと、あんな下品な漫画を女の子が喜ぶということが不思議でたまりませんでした。(その時私の頭の中にあったものは、単行本3巻・千葉その37冒頭の、<世界最優秀高校生大会日本予選も一日目を終り 二日目まで残れなかった数々の選手をよそに>のコマに描かれた、20週未満*10で打ち切られた漫画の主人公6人のシルエットでした。当時「幕張」が好きでなかった私ですが、あのコマは面白いと思ったみたい。)


 「幕張」の連載が終了した1年半後の99年の5月か6月頃、弟が「幕張」全9巻を友達から借りてきて、「面白いからお姉ちゃんも読みなよー。」と私に勧めてきました。「えー。いらないー。主人公がガモウの漫画でしょ?オチ知ってるからいいよー」「オチとかそういうんじゃないって! 面白いんだよ、これ」「ジャンプで全部読んだから、もういいよ。時間の無駄だよ。読まない」と断ったのですが、トイレに入った時に1巻が置いてあったので、暇つぶしにパラパラとめくってみました。その時に、ものすごくハマってしまって。ジャンプで一度読んだのに!気持ち悪い漫画だと思っていたのに! 面白い漫画を読む興奮でドキドキしてしまって、トイレの中でケラケラ笑ってしまいました。特に「千葉その6」*11冒頭の「前回のあらすじ」の<オッス!! おら悟空…(中略)…(ちなみにこの漫画はなるほど・ザ・ワールドではない>がものすごくツボに入り、そのコマに描かれた「チンチンのさきっぽまっ黒なの?」と上目遣いで聞く中井里美と合わさって、なんかもう、どうしようもなくときめいてしまいました。
 トイレから出てすぐ弟に、「ちょっと何これ?! この漫画、こんなに面白かったっけ?!」と2巻以降を借り(奪い)、夢中になって読んでしまいました。
 漫画を読んでこんなに興奮したのは初めて! 塩田くんに恋をしてしまい、最終話を読んだ時は「もう続きが読めないのか」とちょっと悲しくなってしまいました。(一度雑誌で読んだ漫画なのにね)
週刊少年ジャンプ 1997年18号


 「この人、『幕張』終わった後何も描いてないよね。こんな面白い漫画描く人なのに、もったいない!」と思いつつ、毎日「幕張」を読み返す日々を送っていたところ、それから1,2ヵ月後の1999年の7月に、駅のホームで電車を待ちつつキヨスクを覗いて見かけた少年マガジンの表紙の絵が私好みで、「最近こういう絵柄流行ってるのかしら…」とよく見たら「泣くよウグイス*12 木多康昭 新連載」とか書いてあるし。「何でマガジン?!」と興奮しつつ新作が読めることに大喜びして、ますますファンになりました。その1ヵ月後にインターネットを始め、「そういえば『幕張』って、プロト版の読切掲載無しでいきなり連載が始まったような気がするけれど、私が見逃しただけで、『幕張』連載前にジャンプに読切が掲載されたのかしら?」と、ジャンプの掲載作品リストを見るも、それらしい読切はなくって、「???」と思ううちに少年マガジン公式サイトの作家プロフィール*13週刊少年ジャンプ増刊 「仮面の告白」でデビュー>とあるのを目にし、「ジャンプ増刊とは何ぞや?」と気になり、子供の頃に「BASTARD!!」が表紙の『Spring Special』などをよく見かけたはずなのに、あれがそうだということは気付かずに、増刊と別冊を勘違いして国会図書館で『月刊少年ジャンプ』を閲覧請求してみたり*14セガBBSや2chで「仮面の告白」掲載号や「ホップ☆ステップ賞SELECTION」のことを質問して教えてもらってからは、国会図書館へ行って過去作をせっせとコピーしたり*15。ジャンプの増刊号と「ホップ☆ステップ賞SELECTION」や「めざせ漫画家!手塚・赤塚賞受賞作品集」を読むうちに、どんどんジャンプとジャンプ新人*16にハマっていき、現在に至ります。(っつーか、この段落は「幕張」関係無いし、余計だわね)



「幕張」の好きなところを挙げたらキリがなくって、一言で言ったら塩田くんへのキャラ萌えかなぁ。自分が登場人物たちと同年代だった頃は何とも思わなかったけれど、お姉さんになってから読むと、もう、かわいくって、かわいくって。次作の「泣くようぐいす」の千石うぐいすも似たようなものと思うかもしれないけれど、うぐいうすはよく泣くしへタレだし、ちょっと違うよ。あんなにかっこよくはないよ。世界最優秀高校生大会・日本予選最終戦の観客みたく、私も「キャ〜 塩田く〜〜ん!!」って声援やりたいよ。


 あと、手が変なところが好き。なんか手の描き方がおかしくない? ちょっといびつで。特に8巻辺りの奈良の手のダラ〜ンとしたところが好き。今回この文章を書くにあたって、自分が過去に書いた文章を恐る恐る読み返してみたんだけれど、2000年5月にも似たようなことを書いていたよ。↓(恥ずかしいのでリンクは張らないよ)

現在の木多先生の絵でも、手のデッサンの狂いをネット上で指摘する人は多いが、私はそこも木多先生の絵の魅力だと考えている。
だらんとした、やるきのない腕や指が、かわいらしいというか、見ていて母性本能をくすぐられるというか。
例を挙げると『幕張』の奈良や、『うぐいす』の国吉のだらんとした指などがそれである。
私はよっぽど、あの変な手が好きなんだな〜って思ったよ。
週刊少年ジャンプ 1997年30号


 変な手と言えば、絵が拙いところも好きなのですが、「幕張」後期ぐらいの絵が一番好き。巻数で言うと、8、9巻あたり。でもまぁ、1巻からの絵も全部好き。初期の頃の奈良のデフォルメ顔*17がちょっと苦手なぐらいで。「泣くようぐいす」「代表人」と、木多先生の絵はどんどん上手くなってきて、それはそれで好きなのですが、ヘタウマのウマが抜けた感じがするというか…写実的になって絵に動きが無くなってしまったように見え、「幕張」の終り頃の絵が一番好きです。


 塩田以外に好きなキャラは桜井ちゃんです。かわいくて胸が大きくて、自分で自分のことを「かわいい」と言ったり、男を平気でスクリューパンチしたり蹴りを入れたり、わがままで自己中心的なところが好き。彼女のブラジャーのサイズであるE65が、長いこと私の理想で、当時好きなアイドルはそのサイズの子が多かったです。*18


 「幕張」にハマった当時は、奈良は特別好きというわけではなかったのだけれど、「幕張」後の2作が終わった後では、もう奈良以上のキャラを作ることはできないのかしら…思ってしまうことがあるよ。


 一番笑ったのは、第一回チキチキチンポバトル(千葉その67、68。8巻収録)。「なんでギンギンにお立ちになってるの?」とかベコベコなってくるところとか、産業革命の説明のコマとかガモウひろしとかゲラゲラ笑ったよ。


 産業革命で思い出したけど、ジョジョネタやジャンプだけでなく色々な漫画や、ゲーム、CM、芸能ネタなどののパロディが散りばめられていて、コラージュのようなモザイクのような感じのところも好き。


 コミックスの表紙も好き。1巻〜5巻までの「背景に他の漫画家のサイン」シリーズも、6巻以降の「カバーを取ると違うバージョンの表紙が現れる」シリーズも面白くて好きです。6巻で、背表紙がゴリなのに表紙は奈良ビジョンのかわいい智恵子で、「あれー?誰だよ、これ」と思ったら、カバーを取って同じポーズを取っているゴリが現れたので、ビックリしました。
 単行本と言えば、巻頭の「だいたいのあらすじ」で、必ず冒頭に「〜〜ここは千葉県。」の一文から始まるところも好き。(あ、それらは、http://shelter.jfast.net/kita/comics.htmlでも書いたわね)


 「だっははは」や「くわっ」などの擬音の字体も好き。



次はid:Shintaroさんに回します。遅くなってしまって、本当に申し訳ないです。よろしくお願いします。
 id:Shintaroさんのサイト「葵屋」は、私がサイトを始める際に(そして現在も)最も影響を受けたサイトの一つです。うちのJCDX「めざせ漫画家!手塚・赤塚賞受賞作品集」は、しんたろさんとこのホップ★ステップ賞SELECTIONのパクリ企画だし、いまだにパク…もとい参考にしてることは多々あり、文章とデータ集めの発想・着眼点が大好きです。因みにもう一つ影響を受けたサイトは、今は亡き「拝啓、鳥嶋和彦様」(id:Fancyさんとid:kibayashi_mmrさん)です。現在過去問わず好きなジャンプサイトを挙げろと言われたら、「葵屋」と「拝啓、鳥嶋和彦様」を挙げます。
 しんたろさんならジャンプ百選にアレを挙げるだろうと予想がつきつつも、文章が読みたいからバトンを回す打診をしたのですが、簡単に見当が付くものではないことを臭わされ、何を挙げるのか全く想像できなくて、とても楽しみです。数ヶ月単位で遅れてしまい、本当にすいません!

*1:id:hurricanemixer:20040531#1085948962

*2:途中、98・99年に一時中断。その間は、たまにしか読まなかったり立ち読みだったり。

*3:これを引き受けた直後に、「エロネタとパクリネタと自分語りと知識誇示」なサイトだと叩かれて、ちょっとヘコんで「これから書くジャンプ百選に、この4つ全部入ってるよ!」って書く気が少し失せたりもしたんだけれど、冷静に考えたら言いえて妙で、私のサイトを、というか私のことを的確に評してるかもと思ったよ。っつーか、サイトの日記に「自分語りウザい」って何? まぁ「嫌いなら見なきゃいいじゃん」とは思わないよ。嫌いなサイトほど、気になって毎日見ちゃう、でもやっぱりムカつくって気持ちはよくわかるしね。

*4:現在の「ジャンプ十二傑新人漫画賞」の前身の前身ね。

*5:主人公二人は同じで桜井も登場しますが、設定が少しずつ違います。読切2作は木多康昭のコミックスには収録されていません。それぞれ、「ホップ☆ステップ賞SELECTION」17巻と「めざせ漫画家!手塚・赤塚賞受賞作品集」17巻に収録されています。

*6:なみえちゃんも早かったけど、ほら、なみえちゃんはアレだし…

*7:96年当時は巨乳と言っても差し支えなかった数値であるが、乳のインフレ化が進んだ現在では、もはやブラのサイズE65は普通乳の範囲内である。

*8:岩田康照「神光援団紳士録」(96年12号〜29号)の連載開始号の表紙がね、生理的に受け付けなかったんです。だって見てよ、このヒデキっちゃん(だっけ?主人公の名前)の顔→http://web.poporo.net/home/davidbowie/1996/1996jump.htm(12号のところね。) 大人になった今はね、「神光援団紳士録」」はけっこう好きになって、コミックス探そうかなぁって思ったこともあるぐらいなんですけどね。

*9:女子校だったから、女子しかいないんだけど。

*10:猫の口がムカつくやつは、20週ちょいだけど。

*11:「幕張」の話数表記。

*12:連載第1回の表紙では、カタカナ表記でした。

*13:<1997年週刊少年ジャンプ11号〜1998年49号まで「幕張」(集英社・全9巻)を連載。>となっていますが、これは1996年〜1997年の誤植です。「泣くようぐいす」1巻に、「連載準備期間が1年あった」と書いてあるのに、半年前までジャンプで連載してたわけないじゃんねぇ。

*14:月刊少年ジャンプ』は昭和49年8月まで、『別冊少年ジャンプ』という雑誌名でした。『週刊少年ジャンプ 増刊』の請求方法は、請求記号Z32-15のタイトル欄に「少年ジャンプ」と書き、備考として「増刊」と記入します。そうすればいいのに、「少年ジャンプ増刊」というタイトルの雑誌があるのかと勘違いして、どうやって閲覧請求すればいいのかわからずにいました。

*15:現在は一枚25.2円の複写料金ですが、当時は一枚35円もしたんだよ。高すぎ!

*16:「ジャンプでの連載を目指して頑張る人々」ということで、そこにある「夢に向かって努力し頑張る人の<物語>」に夢中になったんだと思う。

*17:読切版では、塩田もそのデフォルメ顔があったけれど。

*18:先程も書きましたが、乳のインフレ化が進んだ現在は、胸の形にもよるでしょうけれどE65は巨乳ではなく普通乳なのかもしれませんね。現在は私の好みが変わっただけというのもあるけれど、アンダーが65だったら、FかGぐらいある子が好きです。